2024年9月に街開きを迎えた関西最後の一等地“グラングリーン大阪”。そんな世界が注目するうめきた公園の地下にオープンした新たな文化装置「VS.(ヴイエス)」。
真鍋大度展、吉田ユニ展、安藤忠雄展など世界に誇れるトップクラスのコンテンツを扱う施設のDXに挑戦してみえた、次世代を育て未来をつくるDX伴走支援の重要性をインタビュー。弊社の取り組みを通じてどのような変化があったのか。
VS.事務局長 阪口暁氏のお言葉を通じてお伝えします。

クライアント概要

VS.共同事業体(株式会社トータルメディア開発研究所・株式会社野村卓也事務所)
530-0011 大阪府大阪市北区大深町6番86号
グラングリーン大阪 うめきた公園 ノースパーク VS.
うめきた・グラングリーン大阪の文化装置「VS.(ヴイエス)」
https://vsvs.jp
常に新しい取り組みが行われる現場で求められる高い品質

クリエイティブユニバースとVS.の関係は実は開業前に遡ります。
2023年10月、「VS.(ヴイエス)」が報道発表された際、ティザーサイトの作成依頼を受けたのが弊社でした。その延長でWebサイトの管理から始まり、様々な提案からVS.共同事業体様のDXを支援することに。
本記事では、トップアーティストの展示が連続する文化装置「VS.」の現場に伴走した弊社との取り組みについて、阪口氏の言葉を通して紐解きます。
多彩な展覧会が連続するVS.
阪口暁氏:
私が文化装置「VS.」の事務局長に着任した当初は施設が立ち上がったばかりであり、様々な試行錯誤が始まったところでした。
事務局は、団体・企業・アーティストなど多岐にわたる関係者対応を円滑に進めなければならず、毎回変わる展示、常に新しい取り組みが行われる現場で、高いホスピタリティを実現するための運営体制が求められていました。
VS.という特殊な施設において、「事務局」の存在は非常に重要であり、様々な部署、多様な人々と連携する、運営の基点としての役割を担っています。
直接的な利益を生む部門ではないからこそ、DXの観点で「どのように円滑な運営を実現するか」、さらに「データ活用基盤」を整えることが必要です。
新しい展覧会が始まる中で、これまでも並走していたCUさん達(※1)とも運営方法について検討しました。
※1:CU=DXBootを運営するクリエイティブユニバース社の略称
DXを通したパートナーのような信頼感があった
阪口暁氏:
CUさんの「レスポンスの速さ」と、こちらの求める要望に対する「意図を汲み取る鋭さ」に感心しました。
企画の背景にある目的と意図を汲み取り、返してくれる。そして、その提案はこちらの期待を超えるものもたくさんありました。
さらに、新しいアプローチやアイデアも提案してくれ、単なるツール導入や目の前の課題解決にとどまらず、先々を見据えたフィードバックをしてくれました。
“DXを介した運営開発パートナー”のような信頼感がありましたね。

kintoneを活用したチケット管理システムを構築
阪口暁氏:
CUさんの提案力とスピード感には助けられたのは、とある企画展の法人・団体予約向けのチケット管理の構築でした。
この企画展では、販売しているチケットの種類も多く、他にも関係各所との複雑な連携に対応し、安定した運用を実現することが重要でした。
CUさんから提案があったのは「kintone」を用いた新しいチケット管理システムを構築することでした。
その後、すばやく事務局・関連団体とのさまざまな連絡が円滑になるよう立ち回ってくれました。
会期がスタートしてからもカレンダー表示や日別の進行管理など、わかりやすい直感的なUIを提案しながら、改善を重ねてくれました。
その結果、短期間で現場が困ることなく使えるシステムが完成しました。テレビCMでしか見たことがなかったDXのツールが、ここまで多機能で使いやすいものだったとはと、目を疑いました。
IT環境を自然に使える文化づくり
阪口暁氏:
企画展がはじまった後も、何かあればCUさん達は現場にすぐに駆けつけて、私たち事務局とともに動いてくれました。
またkintoneだけでは無く、SlackやメールワイズなどのIT・DXツールの導入や研修も実施。現場に即したシステム導入を通して、組織知の蓄積が進んだと確信しています。
またチケットの販売数や申し込み状況などの速報botや通知の仕組みなど、現場スタッフが“あったらいいな”と思うものを柔軟に提案・実装してくれました。こうした現場のスピード感にあった伴走支援のおかげで、事務局の業務運営が着実に前進しました。
システムがスタッフの成長と視野拡張を促進
阪口暁氏:
導入されたツールや仕組みをスタッフ達が使いこなすようになっていきました。
- スタッフ自身が来場者の動向を把握しやすくなり、問い合わせ対応が効率化
- Slackやメールワイズなどを活用する経験を蓄積
- 情報の伝達・集約スピードの向上
施設を運用する中でのIT活用スキルも徐々に上がっていき、年寄りの私は追いかけるのに必死です(笑)ですが、これこそがDX推進に本当に求められているものと私は感じています。
自然に使いこなせる“優れた仕組みはインフラになる”ということ。
ITを活用する環境が充実し、日々の会議や会話のなかで
「なぜその仕組みが重要か」
「こうした仕組みがあれば次はこんなことができる」
という、過程と設計の思考を共有して頂いたことで、目に見えない実践知が蓄積されたと感じています。
新たな文化装置の事務局こそ、次世代の才能が芽吹く場所へ
阪口暁氏:
目の前の課題を解決するだけでなく、「なぜそれをするのか」「どうすれば人がよりよく働けるのか」という問いに、CUさんは分かりやすい提案をくれました。
とくに印象的だったのは、そのスピード感とフットワークの軽さ。
現場を理解し、運営のコストや手間にも配慮した提案を即座にいただける。
この両輪をもつ会社を、私は他にもう一社しか知りません。広い知見を駆使し、総合的にVS.の信頼性を保ちながら円滑な運営をする一助となりました。事務局長として非常に感謝しています。
単に作業を効率化するだけで良しとせず、人がデジタル基盤に自然と関わる新しいアプローチがあることを教えていただきました。
この考え方は私自身、はじめはすぐに理解できたわけではありません。けれど、CUさんたちとの対話の中で、自分自身の思考も少しずつブラッシュアップされていき、気づけば事務局全体が「ITを活用してできることが増えている」と感じています。
今後もぜひ若手スタッフとも深く関わっていただき、VS.という場が新しいアイデアと技術が巡り、次世代の才能が芽吹く場所であってほしいと願っています。
未来を見越した設計を支援する
DXアーキテクト 樫本:
広報から経理、チケットシステム構築やWebサイト運営まで、企画展においてVS.が担う業務は多岐にわたります。
要望を迅速に形にするフットワークの軽さや拡張性を持ちながらも、非IT系スタッフが働く現場の成長に寄り添い、伴走支援を提供することが大切です。
システムを作ったりITツールを使いこなすことが大事なのではなく、“現場とともにIT活用やDXが進み、組織がアップデートされていく文化づくり”がDXの本質です。大阪の期待を背負う新たな文化装置だからこそ、様々な文化創出の裏側支援をDXを通じてお手伝いしてきます。
